CEDECにいってきたよ(三日目)

最終日です。

今回のCEDECの日程の中で一番楽しみにしていた、一日でもあります。

A03 未来に向けて広がるゲームビジネスの可能性
R32 最新世代機にかかわる技術トラック "Imagire Day?" ゲーム開発者向け最新技術論文の解説・実装講座〜遥かなるトップレンダリストの頂を目指して〜
R38 最新世代機にかかわる技術トラック "Imagire Day?" レンダリストのためのカメラ(光学)理論とポストエフェクト
R42 最新世代機にかかわる技術トラック "Imagire Day?" VirtuaFighter5レンダリング技術事例 〜ティーポットからはじめるバーチャファイター
R47 最新世代機にかかわる技術トラック "Imagire Day?" 内政ミドルウェア開発に見た前世代機から次世代機への移り変わり

A03は、エンターブレイン社長である浜村通信による、ゲームビジネスのお話。

これからのゲーム業界のキーワードとして

? プラットフォームごとに違った客層
? 多様化するビジネススキーム
? ヒットトレンドは「つながること」
? 世界は日本に注目している

と四項目を挙げていました。

...別に目新しい話題じゃないと思うし、わりと共通認識みたいなもんだと思うんですけど、話し方が上手いから説得力があるなぁと感じていました。
面白いゲームを考えることって大事だし、自分達の感性を信じることも大事だけれども、こういったことにもちゃんと目を向けていかないといかんよなぁと...

余談ですが、講演が面白かったので、セミナーの帰り道『ゲーム産業で何が起こったか? 』を買っていこうと思ったんですけど、ぱらぱらと眺めて購入をやめてしまいました。

だって、あんなに文字間がすかすかな本に1,680円は高い気がするんだもの...

さて、後はお楽しみのImagire Dayです。

話についていけなくたって、自分の技術力の試金石になってくれればそれだけでいいんです。

なんて思って参加させていただいたんですけど、思ったよりもがんばれたみたいです。

R32 は、バンナムの今給黎さんからアイコナールレンダリングの解説と、シリコンスタジオの田村さんから「Frequency Domain Normal Map Fitering」の解説が行われました。

アイコナールレンダリング(Eikonal Rendering)は、GPUを用いて光の屈折をシミュレーションするっていう手法らしいです。

GPUによるパーティクルシミュレーションを行うんですけど、増加する粒子をGPU上でどのように扱うのかってのが一番の肝になっているようです。

粒子をミップマップのようなHistoPyramidに登録して、ポイントリストをアップデートしていくといった形で実現するようなのですが、粒子をメモリ(=テクスチャ)に書き込む手段としてのHystoPyramidとPointListがちょっとイメージしきれませんでした

...ゆっくり考えてみよう

「Frequency Domain Normal Map Fitering」は、簡単に言えば法線マップをミップマップにする方法です。

田村さん曰く、それほど効果が期待できるものではないけど、問題解決の考え方が面白くためになるので紹介したそうです。

基本的なアイディアは、ミップマップを作るときに法線の平均を取るって考え方がまずいから、球面調和関数を用いて複数の法線(の近似)を格納しちぃましょうって話。

実際には球面調和関数だと鋭いスペキュラが出なくなってしまうから、圧縮に利用する関数をvMFとかいう関数を用いて行ったほうが良いらしいけど話の展開としては球面調和関数の方が都合がよいんだとか...

去年のCEDEC出席したときから感じていることなんだけれども、周波数空間での圧縮方法については、早いところ勉強しとかなきゃいかんなぁと...

しかし田村さんの解説はめちゃめちゃわかりやすい。

完全に自分の中で消化できているから、ここまで丁寧な解説が出来るんだろうなぁ


R38 は、トライエースの五反田さんと、シリコンスタジオの川瀬さんによる、カメラとフィルムのお話でした。

今給黎さんのシェーダ本を読みながら、被写界深度の実装をやってみたときに、カメラの知識が無くて苦労した覚えがあるんですけど、トップレンダリストを目指すなら、ここまでやらなきゃ駄目なのかっ、と驚きました。

たしかにデモで見せていただいた画面には、強烈なインパクトがありました。

かなり駆け足だったので、もう少しゆっくり話をお聞きしたかったのですが...

是非IGDAで、もう少し時間を使った講演をしていただきたいのです

とりあえず、手元資料の配布が無かったので、CEDECの講演資料開示を待って、ゆっくり勉強させていただくことにします

R42 は、CGWorldでも取り上げられたことのある、VirtuaFighter5レンダリングのお話で、セガ山之内さんとCRIの加東さんのお話でした。

この講演は、ちゃんと理解できたし、雲をつかむような話でもなさそうなんで、まぁ私のスキルもそこそこ上がっているのかなぁと思いました。

ディスプレースメントマップを利用した水面のシミュレーションは、面白そうなんで近いうちに実装してみましょう。

フォグマップもCGWorldで読んだときには、よくわからなかったんですけど、話を聞いて納得。

こちらも近いうちに実装してみることにします。

配布された手元資料はとても出来が良いので、参加されなかった方は後で後悔されるCEDECの講演資料開示の時に参照してみると良いと思います。

R47 は、バンナムの内製ミドルウェアのお話。

おそらく過去最長だと思われる、脅威の40分延長戦。

似たようなお仕事なんで、期待していたんですが、正直あまり面白くなかったかも...

とはいえ、バンナムさんの事情が聞けたのは、ちょっと収穫でした。


そんな感じで、夏の一大イベントであるCEDECも終了してしまいました。

自分に足りない部分もいろいろと確認できたことですし、また地道にがんばっていこうと思います。