CEDEC 2008(1日目)にいってきたよ
今年CEDEC2008に参加してきました。
初日である本日の基調講演では、株式会社コーエーの代表取締役社長の松原健二さんが、「CEDECの10年、これからの10年」って講演をされていましたが、私のCEDECも6年目とかになっているんじゃないかと思います
そう、もはや夏といったらCEDECなのです
さて、軽く雑感を残しておきます
本日、参加して来たのは以下のセッションです
- 基調講演「CEDECの10年、これからの10年」
- 「IMAGIRE DAY(1) レンダリスト養成講座2.0」
シリコンスタジオ株式会社 ソフトウェアエンジニアリング部 ソフトウェアエンジニア
田村 尚希
シリコンスタジオ株式会社 ソフトウェアエンジニアリング部 リードソフトウェアエンジニア シェーダ・アーキテクト
川瀬 正樹
- 「IMAGIRE DAY(2) シェーダ管理事例〜自由度とひきかえに〜」
- 「IMAGIRE DAY(3) ゲーム開発のためのプロシージャル技術の応用」
株式会社フロム・ソフトウェア
技術部
三宅 陽一郎
- 「IMAGIRE DAY(4) プロシージャルグラフィックス - 理論と実践」
株式会社バンダイナムコゲームス
コンテンツ制作本部 制作統括ディビジョン
今給黎 隆
やはり IMAGIRE DAY は、外せません
レベルが高いわ
IMAGIRE DAY(1)では、前半が田村さんから「レンダリスト養成講座2.0」として SIIGRAPH2008で公開された論文の"Real-time, All-frequency Shadows in Dynamic Scenes"についての技術解説がありました。
どうやらクッキリとした影とぼやけた影の両立を目指した手法のようです。
ソフトシャドウを複数回分割したようなもので、「環境マップを複数の面光源に分割」して「面光源を用いてソフトシャドウ計算」を行うというのが基本となっているアイディアになります
詳細は...わたしよかちゃんと説明できる人が書くだろうから割愛
(参考ページ: http://www.mpi-inf.mpg.de/~dong/SIG08_CSSM.html)
個人的には、面光源の知識が足りないことを感じてきました
IMAGIRE DAY(1)の後半は、川瀬さんから「光学に基づいたボケ味の表現」として、被写界深度エフェクトのスキャッターベース手法の提案(?)がありました
スキャッターベースとギャザーベースって用語に(去年も川瀬さんの講演を聴いているんですが...)どうもなじみが無いんですが...スキャッターベース手法の被写界深度エフェクトってのは"ぼけ"のパッチとなるようなテクスチャ(ぼけカーネル)を利用する手法で、ギャザーベースってのは画素を集めて色の平滑化を行いながらぼけを表現する手法って程度の捉え方をしています
去年の講演でも、レンズの話をされていましたが、今回は実際にカメラの勉強を始めた効果なのか、去年の講演の復習をしたからなのか、よく理解できました
実際のレンズをシミュレートしたぼけカーネルの作成方法は結構面白くて、レンズの収差を断面図のようにして二次元テクスチャに落とし込んでおき、レンダリング時には各点のレンズから投影面までの距離を算出してレンダリングするってのはさすがだなぁと思いました
デモも披露していただけたのですが、ぼけていない時の画像が頭に思い浮かばなかったので、すこしわかりづらく感じました。
この手法はとても興味があるので、暇ができたら是非実験してみたいものです
IMAGIRE DAY(2)は、トライエースの内部エンジンでどのようにシェーダの管理を行ったかって話でした
五反田さん曰く、シェーダ管理手法は大きくわけると
- 大きなシェーダの中で(静的)分岐を行う
- 手動でシェーダのバリエーションを作成する
- (オフタイムに)動的にシェーダを作成する
- ランタイムにシェーダを作成する
といった手法があり、トライエースで用いたのは、最後の「ランタイムにシェーダを作成する」方法だったそうです。
シェーダのコードは、今給黎さんの本でサンプルを書きながら勉強した程度の知識しか無いので、実プロジェクトのシェーダ管理方法ってのはどうなっているのか知りたかったんですけど、やたらと手間のかかることをするんだなぁと...
3年ぐらい前のCEDECで、川瀬さんもシェーダの管理方法の講演をやっていたと思いますが、こういった需要が高いのになぜGPU側が進歩しないんだろうかと考えてしまいます
今はまだ自分でシェーダの管理をしたことは無いんですけど、近い将来に同じ道を通りそうなので...参考にさせていただきたいと思います
IMAGIRE DAY(3) は、IGDAのAIセミナーを通して三宅さんから聞いたプロシージャル話のまとめって感じでした
物量がどんどん大きくなっていくゲーム業界において、プロシージャル技術ってのは重要ってのが、話の起点になっていたわけですが、個人的にはちょっと違う気がするんですよね...
つかみとしてはキャッチーだと思うんですけど、解答が優秀すぎるような気がしました
個人的には復習程度の講演になってしまいましたが、プロシージャルってなんなの?って人には、良い講演だったと思います
講演のスライドを利用させてもらって、社内啓蒙活動をしてみると面白いかなぁと思いました
IMAGIRE DAY(4)は、プロシージャルをグラフィックスに利用するとどんな感じなのか?って話でした
わかりやすい技法として、
- ノイズ関数
- L-System
- ドロネー図・ボロノイ図
ってのがあげられて、それをどうにか利用して実用になりそうなことをやってみましたって内容でした
プロシージャルなマッピングとして利用できそうなものを
を挙げ、経年劣化したティーポットの表現の実装手段が公開されました。
確かにどれも、すぐに利用できるものだし、それほど敷居が高いものでもないのに、組み合わせていくと確かに経年劣化したティーポットになるってのはさすがです
難しい公式をならべられて、なんかすごいことをやられるよりも、あるものを活用するってのにはとても刺激を受けました
あとは、移動ノイズテクスチャの紹介と、L-Systemを利用した樹木生成のサンプルが紹介されました
さて、明日は二日目です
...今年は1日目からくたくた