CEDEC 2009(二日目)
さて、二日目.
本日の受講セッションは次の通り.
- 慣れたら死ぬぞ
- 加速度センサのさらなる活用
- スケーラブルな並列化
- 最新モバイルグラフィックスプログラミング入門
- スクウェア・エニックスのちょっといいプログラミング
気になるセッションが少なかったので、その場のノリで受講するセッションを選びました.
結果は、まずまずってところでした.
そんなわけで詳細.
慣れたら死ぬぞ
慣れたら死ぬぞ 富野由悠季(アニメーション監督・原作者)
言わずとしれた、ガンダムの中の人.
会場到着時刻が、開演5分前だったので後ろの席で立ち見になってしまいました.
改めて「みんな、ガンダム好きなんだぁ」なんて事を思った.
公演を聞いていて感じたことは、「自己矛盾」ってこと.
私の周りの反応を見ていると、「凄く良いことを言っていた」といった感じなのだが、私にはさほど良いことを言っているとは思えなかった.
...いや、むしろ「富野が良いことを言っていた」と言ってしまうのは、氏が伝えたかったことの本質とは違うんじゃ無いかと感じた.
氏のメッセージは、恐らくこんな感じ.
- 創作活動をするためには、創作物の根源がどこにあるのかを真摯に考え抜く必要がある
- まずは、自分を信じること
- そして、仲間を信じること
ゲームを作ることだけではなく、すべての創作活動には迷いがあって葛藤があって、周りからの圧力があって...
それでもそんなことに惑わされずに何かを成し遂げる為には、信念ってのが必要なんだろうと思う.
自分の中にある「自己矛盾」とも向き合って、怒って、羨んで、怨んで、落ち込んで、それでも自己を貫き通すってことが創作活動なんじゃないのか.
だから、こんなジジイの話なんかありがたがって聞いてるんじゃない.
なんとなくそんなことを言われているんじゃ無いかって気がした.
なわけで、富野氏の講演に自己完結がついてしまった段階で途中退出することにしました.
加速度センサのさらなる活用〜入門から応用まで〜
加速度センサのさらなる活用〜入門から応用まで〜 山口健太郎/加来量一(株式会社バンダイナムコゲームス)
私は、社内研究開発の一環として、wiiリモコンを使ったとある実験をおこなったことがあります.(詳細は言えないけど)
そこで、加速度センサの制御プログラムをしばらく書いていたんですけど、どうにもこうにも思っていたような値が取れない.
wiiリモコンは、加速度の上限が低くて、確か3G程度の力を加えるだけで値がオーバーフローしちゃうから、想像している
値が取り出せなくて酷く苦労した記憶があります.
そんなことを思い出しながら、このセッションを聞いてきました.
このセッションは大収穫.
私も一ヶ月ぐらいwiiリモコンをいじっていたから、それほど新たに聞くところは無いだろうと思っていたんだけれども、
根本的なアプローチが違う.
おもしろかったのが、後半部分の詳細説明で、以下のことを話していただけました.
- wiiリモコンの傾き情報の推定
- 加速度センサを利用した図形入力
- 加速度センサの固体誤差修正
多分、加速度センサ(wiiリモコン)のイメージだけで聞いていると、どれも大したことは無さそうだし、逆にこんなことも
出来なかったのかって思われてしまいそうなんだけれども、なかなかどうして、自分で値をいじってみるとどれだけ
期待する値を採るのが難しいのがわかりますって.
そんなわけで、この講演は非常に為になります.
...一点、懸念すべきところがあるとすれば、紹介された手法は特許出願中なんだとか...
そりゃバンナムさんは会社組織だから、わかるっちゃわかるんだけど、ちょっと萎えますな.
せめて、ゲーム業界内ではパテント料無しで特許を扱うことができませんかね?
うちみたいな零細は、研究開発費もろくに確保できないんだから、軽く押しつぶされちゃいますって...
ま、とはいえ、問題に対するアプローチの仕方とか、めちゃくちゃ勉強になりました.
スケーラブルな並列化
スケーラブルな並列化 川西裕幸(マイクロソフト株式会社)
エバンジェリスト.
いや、すごいねエバンジェリストって肩書き.
私も、会社で名刺に好きな肩書き書いても良いよって言われたら"エバンジェリスト"って書いてもらおう.
...ごめんなさい、私なんざ足下にも及ばないです...
さて、並列化の話.
VisutalStudio 2010 をベースにした、メニーコア時代の並列化の話でした.
C#(C++) にもλ式がついたりだとか、実行順序に関する考え方を修正する必要があったりだとかする程度で、それほど変わらないと
言われてはいるけれども、個人的には立派なパラダイムシフトを起こすんだろうと考えています.
今日の現場で、レガシーなCをばりばり書いている人は、取り残されないように注意しておいた方が良いと思う.
まだ(ほんの)少し先の話なんだろうけど、メニーコア時代が進んで行くにつれて、C++を積極的に使いたい理由ってのは無くなっていると思う.
今は、手に(よく)馴染んでいるし、資産も制約もあるので C++ 一択なんだけれども、まじめにメニーコア対応に向き合うまでには、
もう少し選択肢を増やしておきたいところ.
なんとなく、ポールグレアムが言う「すべての言語がlispに向かっている」ってことを感じた.
とりあえずは、基礎知識程度まではlispの勉強を進めておかなければ、と感じた.
最新モバイルグラフィックスプログラミング入門
最新モバイル3Dグラフィックスプログラミング入門 香田夏雄(株式会社ヒュージスケールリアリティ)
...え〜っと、とてもよくまとまった良い講演だったと思います.
でも、私には必要ありませんでした.
他に、見てみたい講演が無かったので、賑やかしに行っただけです.
会場はもう少し閑散としているかと思ったんですけど、8割程度席が埋まっていて結構びっくりしました.
このblogもやたらと、iPhone OpenGL ES のエントリーに訪れていただいている方が多いようなんで、
結構、モバイル端末でOpenGLが動くのを見て、新たに3Dをやりたいって思い始めている人が多いんですかね?
『フルスクラッチによる リアルタイム3Dグラフィックス入門』なんて本を書いたら結構需要あるのかしら?
むしろ、『iPhone から始める3D入門 -ポリゴン表示からアニメーションまで-』とかの方が需要あるんですかね?
スクウェア・エニックスのちょっといいプログラミング
スクウェア・エニックスの、ちょっといいプログラム 岩崎 哲史(株式会社スクウェア・エニックス)
ホントにちょっとだけ良いプログラミング(ツール)の話でした.
ちょっと残念...
後半に、EIDOS の「すごくいいプログラミング」として、アセット管理システムの紹介をしていたんですけど、
これはちょっとためになった.
"アセット管理"って言葉は聞くけれども、実際にどういうシステムが必要とされているのかって全然知らなかったんで
参考になりました.
開発規模が大きくなってくると、こういうことも考えなければいけないんだろうけど、うちはまだここに金と時間を
割くぐらいだったら、他のことをやった方が良いとも思いました.