CEDEC2009(三日目)

そして、最終日の三日目です.

本日の受講セッションは、以下の通り.

  • 国民的ゲームとは何か?
  • IMAGIRE DAY: 本当のHDR表現へ
  • IMAGIRE DAY: 続・レンダリスト養成講座
  • IMAGIRE DAY: 破壊シミュレーション入門
  • IMAGIRE DAY: 3Dゲーム開発マニアックス
  • ゲームAIを横浜で語る

国民的ゲームとは何か?

国民的ゲームとは何か? 〜ドラゴンクエストの場合〜

堀井雄二(ゲームデザイナ)
市村龍太郎(株式会社スクウェア・エニックス)
藤澤仁(株式会社スクウェア・エニックス)

ドラクエは、1〜6まではクリアするまでやったけれども、7〜9は未プレイ.

講演は面白かったし、新しいドラクエはちょっと欲しくなったけれども、得た
ものは以外に少なかった気がする.

丁寧に作っているし、丁寧に市場を分析しているし、丁寧に売っている.

さすがドラクエ.

ネットで情報がリークされることも、ユーザ間で繋がって遊ぶことも、計算さ
れてつくられている.

すごいとは思うんだけれども、そのすごいは想像の範疇だったので、得たもの
は少なかった.

企画屋さんとかが聞くと刺激になったのかな?

CEDECの基調講演に出てくるんだったら、堀井さんはもっと直接自分の口でしゃ
べるべきだと思う反面、堀井雄二ではない、ドラクエ開発者にスポットライト
を当てたってのはとても嬉しかったこと.

IMAGIRE DAY: 本当のHDR表現へ

本当のHDR表現へ 〜 アーティストにも知っていてほしいリフレクタンスの基礎

五反田義治(株式会社トライエース)

さて、IMAGIRE DAY.

「リフレクタンスの基礎」とあるけれども、内容は「デザイナもレンダリング
パイプラインの基礎をもっと知らないと困りますよ」って話だった.

個人的には、とても良い復習になってありがたかったんだけれども、五反田さ
んの目指した「デザイナさんにも聞いて欲しい内容」という点は達成できたか
疑問.

BRDFとか、プログラマだって「とりあえずOpenGLを使ってモデル表示してみま
した」レベルの人だったらなんのこっちゃ分からなかったんだろうな.

まぁ、先にはこういう世界が待っているんですよって程度に捉えておけば良い
のかなって気がします.

私は、知識としてじゃなく、きちんと実装できるようにならなければ(汗

...トライエースのデザイナは、このあたりの話を理解されてるんですかね?

一緒に聞いたうちの(テクニカル?)デザイナは、「ちんぷんかんぷんだった.もっ
と勉強せねば.」なんてことを言っておりました.


IMAGIRE DAY: 続・レンダリスト養成講座

続・レンダリスト養成講座

田村尚希(シリコンスタジオ株式会社)
川瀬正樹(シリコンスタジオ株式会社)

前半は、田村さんによる論文紹介.
今回は、「Line Drawing via Abstructed Shading」の紹介でした.

http://portal.acm.org/citation.cfm?id=1276400

簡単に言ってしまうと、2D画像の輝度情報を使ってトゥーンシェーディングで
利用するような稜線情報を抽出するって話.

手続きとしては、

1. 稜線として得たい線の太さ/2 の間隔で 3x3 ピクセルをサンプリング
2. 色の濃さを高さとしたハイトマップ作成
3. ハイトマップを放物面で近似
4. 頂点毎に曲率、曲線方向を計算
5. 頂点毎の曲率、曲線方向から色の補正を行う

といった感じの手順を行う.

一番キモになる部分は、ハイトマップを放物面で近似して、曲率/曲線方向を計
算するってところだろう.

ちょいと大変なところはありそうだけれども、なんとなく実装できそうなんで
試してみたいな.

田村さんの話は、相変わらずとてもわかりやすい.

なんとなく実装できそうっ
て気になっているってあたりは、実は田村マジックなんだろうな:p

後半は、川瀬さんによる「アンチ縮小バッファアーティファクト」.

縮小バッファを用いたポストエフェクト処理は、すでに定着している技術だけ
れども、縮小バッファのサイズによっては、ジャギとかマッハバンドとかのアー
ティファクトが出てしまって、縮小バッファ感が強くなってしまう.

なので、縮小バッファに直接エフェクトを適用するんじゃ無くって、拡大しな
がらエフェクトを適用することでアーティファクトを軽減しましょうって話.

なので、紹介された手法には"縮小・拡大バッファエフェクト"なんちうちょっ
と分かりづらい名前がついていました.

これは、わりと現実的に利用できそうなテクニックで、小難しい数式もなかっ
たのでありがたかった.


IMAGIRE DAY: 破壊シミュレーション入門

破壊シミュレーション入門

今給黎隆(株式会社バンダイナムコゲームス)

今給黎が五分刈りになっていて、かなりびびりました.

破壊シミュレーション入門とあるけれども、これが入門だったらとおもうと、
こちらでもびびりました.

なんとなくたどらなければいけない道が示されていたと思うのですが、そこに
(自分の)未来があるのかって点には疑問符. うかつに手を出さない方がよさそ
うかなと...

収穫は、破壊ではなけれども、ちょいと変なシステム(詳細はないしょ)を作っ
ていたとき、物体の分割とかってどうやってやるんだろうということを考えて
いたことがあったので、

  • 破壊されたメッシュは、オフラインで用意しておく
  • 破壊されたメッシュは、別途シミュレーション用の四面体と対になったパーティクルシステムで制御する

といった見解が得られたのは収穫.

全てをまじめにやる必要なんて無いんです.

IMAGIRE DAY: 3Dゲーム開発マニアックス

3Dゲーム開発マニアックス

西川善司(トライゼット)
今給黎隆(株式会社バンダイナムコゲームス)
石田智史(株式会社カプコン)
藤田将洋(ライトトランスポートエンタテイメント株式会社)
田村尚希(シリコンスタジオ株式会社)
川瀬正樹(シリコンスタジオ株式会社)
五反田義治(株式会社トライエース)

とても面白かった. ちうか、あと2〜3時間話しててくれて良いよ.

西川さんの家で、この講演の予行演習としてやったという、6時間座談会を聞か
せて欲しかった.

正直、やっとエンジン掛かってきたってぐらいにタイムオーバーで欲求不満な
感じ.

皆さん、リアルタイムレイトレに関してかなり慎重な見解を示していて、ちょ
いと意外だった.

個人的には、長期的に見れば、固定パイプラインや(現状のような)シェーダシ
ステムってのを、表現に応じて使い分けるって選択肢は無くって、リアルタイ
ムレイトレ一本になるんだと思う.

5年後ぐらいのレンジだと、表現の豊かさが欲しいけれども、処理速度的に一部
リアルタイムレイトレのパイプラインを使いましょうって程度に収まるんだと
思うんだけど、10年後とかになると割と普通にリアルタイムレイトレでゲーム
がなりたってるんじゃね?

表現を気にしないゲームってのは、テケトーに設定されたレイトレでも気にし
ないと思うので、速度さえ足りていれば、それこそ表現方法がレイトレだとう
が固定パイプラインだろうが気にならないと思うのですよ.

ゲームAIを横浜で語る

ゲームAIを横浜で語る
長久勝(ハイパーコンテンツ株式会社)

今回は AI系の講演はほとんど聴かなかったんですけど、全体的にどんな感じだっ
たのか知っておきたかったので出席させていただきました.

後追いで情報収集させていただきます.

振り返って

とても楽しい3日間でした.

パシフィコ横浜もなかなか良かった.

#CEDEC 界隈でフォローしていただいたかたありがとうございました.