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[iPhone][開発] 『Game Developers Conference レポート for iPhone Games』メモ(第二回)
概要
前回に引き続き、『Game Developers Conference レポート for iPhone Games』に行ってきましたよメモの公開.
今回は、
『Game Developers Conference報告 for iPhone (1)』 幅 朝徳(株式会社CRI・ミドルウェアiPhone & SmartPhone 推進室長)
の部分に関して
アプリの広告ビジネス
- 『Papertoss』のアプリ単体の売上げは、8.9万ドル程度
- アプリ内の広告が37.6万ドルと大きい
- BackFlipstudioは、99セントアプリの買収戦略を行っている
(注釈)
慌ててメモを取っていたので、話していた内容との齟齬が多そう...(メモの意味ないじゃん)
アプリ内広告が収入源たりえるという話は興味深いけれども、なんとなくマッチポンプ感が否めなくって、これを中心としたビジネスモデルは考えたくない.アプリを売りたい人が(お金を払って)広告を売って、無料アプリがその広告を流すってのが、マッチポンプ感なんだろうな.
もう少し、「ユーザーがハッピーになるモデルを考えられないか?」ってのは考えてみる価値がありそうだ.
doodle jumpのポストモーテム
- doodle jumpの初日DL数は21DLしか行かなかった
- クリスマス商戦(?)だけで、8万DLほど伸びた
- そして、現在300万
- "PeopleLoveUpdate"
(注釈)doodle jumpの取った戦略は、
1. アップデートを通して顧客満足度を上げる
2. 満足感を覚えた顧客が次の顧客を生む
っていう商売の王道.
これまでのパッケージビジネスの場合"作る -> 売る"の間に色々と障害があって、「作りきり」なんて言葉も使われていたけれども、DL中心にビジネスが移行していったとしたらこれは当然の流れ.
DSにしてもPSPにしても(据え置き機にしても)、DL方向にビジネスを転換したいような雰囲気を見せ始めているものの、アップデートに回数制限があったりだとか、デベロッパ側にアップデート手数料を払わせるとかは時代遅れ感がしてしまう.
お金を管理する立場から見ると、すでに購入しているユーザに対するサポートが"無料"って事に、かなり敏感な反応をするんだよな.
確かに原資(追加コスト)はかかるけれども、こういった地道な活動がユーザ層を厚くするのが現状なんだろうと思うのだが...
とはいえ、叩いても目が出そうにないコンテンツに対して「アップデートが顧客満足度を上げる」という言葉だけを免罪符にしてコストを突っ込んでいくのも無謀なんだとも思う.このあたりの見極めは、慎重に行うべきなんだろう.
doodle jumpの宣伝・広告
- description を有効活用する
- 継続的なアップデート情報を載せた方が良い
- メディアの引用文も載せた方が良い
- Lite版重要
- アプリ内には、"See more games"を入れて、(自社の)他アプリへ誘導した方が良い
- とにかくアップデート情報を利用して、ユーザとのコミュニケーションの場を作ることを重要視.
(注釈)
研究のために『doodle jump』をDLしてみたのだが、確かにかなり頻繁にアップデートが行われている.
そして、アップデートの詳細部分には、他のアプリではあまり見ることの出来ないアップデート情報が書かれていることが分かった.
GDCの『doodle jump』講演に関しては、かなり(業界への)影響力が強そうだと感じたのだけれども、アップデート情報にあまり情報を書き込まないアプリ開発者(開発会社)が多いように感じるのはなぜだろう?
他のデベロッパはそれほど重要視する必要は無いと判断しているのか、また別の何かを感じ取ったのだろうか?
doodle jump のマーケティングアクション
- アップデートは、ユーザーとのコネクションとして捉える
- もっとユーザーとのコミュニケーションを有効活用しましょう
- クリスマスバージョンでセールスが伸びた
(注釈)
クリスマスシーズンに合わせて、キャラクターにサンタの格好をさせたりするのはユーザにとっても楽しいことだと思う.
個人的には、クリスマスシーズンを過ぎたとしても「クリスマスバージョンで遊びたい」(でも、実際には遊ばない)って考えてしまうのだが、普通のユーザは「クリスマスシーズンを超えてクリスマスバージョンが遊べる」ことは重要視していないのかね?
なんとなく、セガの『クリスマス・ナイツ』を思い出した.
やっぱり、クリスマスバージョンが欲しくて申し込んだもんなぁ...
このあたりも、「既存のユーザには"無料"で、クリスマスバージョンを...」って部分が経営者的には気になる部分になりそうな予感.
「既存のユーザ」 = 「すでに製品を気に入って購入しているユーザ」なので、"クリスマスバージョン"を買う人は、その外に存在しているのではなく内側に存在しているって考えてしまいがちなんだろう.
この考え方は、これまでの正解だとは思うのだが、これからの正解なのかってのが気になる所だ.
まとめ
- ソーシャル化/DL化の波が来ている
- キーワードは『Sea Change』
- 『Sea Change』とはポジティブ方向でのチェンジを意味している
(注釈)
『時代の変革期にいる』って感覚はとてもエキサイティングなことなんだけれども、組織に属していると、すべての利害関係者が『変革期』を感じている訳でも、必要としている訳では無いってところが難しい.
どんなに声を荒げて「ほら、色々と状況が変わってるじゃん」って言ったところで目を閉じてしまっている人たちには悲しいかな何も写るものは無いのです.
こういったときの処方箋はただ一つしか無くって、「自分が楽しんでいる姿を見せて周りをうらやましがらせる」って事なんだろう.
言葉だけで人を動かすことなんて出来ない.
だから自分の行動で人の意識を変えていく必要があるんだろう...
(おまけ?)ファンドに関して
- ゲーム単体では、投資はしない
- 仕組みに対して集中
(注釈)
遅かれ早かれ、既存のゲーム会社は出版社化するしかない.
編集者やエンジニアで居ることを良しとするなら、中途半端なクリエイター魂は邪魔になるだけだと思う.
「生み出すこと」を生業にしたいのであれば、既存のゲーム会社の仕組みにとらわれるのは馬鹿らしすぎる.
次回予告
次で最終回.
大前さんの話を聞きながら書いたメモを再編集します.