iPhoneアプリ開発者は必読『iOS SDK Hacks』

iOS SDK Hacks ―プロが教えるiPhoneアプリ開発テクニック

iOS SDK Hacks ―プロが教えるiPhoneアプリ開発テクニック

タイトルにびびるなかれ.
どこぞの書評に書かれている「中級者なら買い」に尻込みすることなかれ.
食わず嫌いは損しまっせ.

本書は、全てのiPhoneアプリ開発者にとっての必読書だ.

ひとまず目次に目を通していただきたい.

目次

クレジット
まえがき

1章 UIKitHacks
    1.  subviewsを辿る
    2.  respondsToSelectorをフックする
    3.  UIWebViewでユーザーエージェントを切り替える
    4. class-dump
    5. 便利マクロ
    6. UITableView Hacks
    7. NSOperation
    8.  PNG最適化
    9.  MapKitとMKMapView
    10. MKMapViewでピンをアニメーションさせる
    11. AsyncSocket
    12. ImageStore
    13. AdHocビルド
    14. 外部ディスプレイ

2章 QuartzHacks
    15. 文字を高速に描画するには
    16. 影付け
    17. クリッピング
    18. NSStringを使わない描画方法
    19. Quartzで2バイト文字等を描画する
    20. 描画される文字の幅を調べる
    21. 自分で用意したフォントを使う
    22. UIImage Hacks
    23. ピクセルデータから UIImageを作成する

3章 Objective-C
    24. Objective-Cの動的性質
    25. Method Swizzling
    26. Method Swizzlingによる UIWebView Hackの例(iOS 3)
    27. dlopen

4章パフォーマンスチューニング
    28. 性能チューニング
    29. otool
    30. Instruments
    31. Shark
    32. ARMイントロダクション
    33. NEON
    34. VFP

5章ネットワークサービス
    35. Push Notification
    36. In App Purchase

6章 iOS4Hacks
    37. ユニバーサルバイナリ
    38. iOS 4のカメラ API
    39. Accelerate.framework
    40. UI Automation
    41. Grand Central Dispatchによる並列処理

索引

アプリケーション作成チェックシート

コラム目次
    iPhone用オープンソースについて
    仮想通貨の是非について
    Appleの決済を使わないアプリケーション内課金について

ざっと目を通してみると、CPUの動きだとか最適化だとか、ちょっと小難しい項目が並んでいるが...

ざっと目を通したら興味を引かれた部分だけ読めばよろしい.

2〜3項目も読みたい章があるのなら、それだけで購入してしまって損は無い.

さて、それでは興味を引く項目が無かった初心者の救済措置をしておこう.

まずは、『#13 AdHocビルド』(p.37)を読め.
本書を手に入れたら、表紙を眺める前にこのパートを読み始めて良い.
ここにはデバッガさんにアプリを渡す方法が書かれている.
本書を読まずに、「ADHocビルドの方法ならすでに知ってるよ」なんてことは言うなかれ.
すでに他の人の開発者アカウントで認証済みのアプリを、自分のアカウントで再認証できるのはご存知だろうか?(私は本書を読むまで知らなかった)
こういったちょっとした情報こそが本書を読む価値というものだ.

ここを読み終わったら、『#30 Instruments』と『#31 Shark』だ.
XCodeにはInstrumentsという素晴らしいプロファイラツールが付いてくるのだが、意外にその(日本語で手に入る)情報は少ない.
プロファイラツールなんていうと小難しい印象を受けるかもしれないが、メモリリークなんかも報告してくれるツールなんて程度に捉えておくだけでも十分過ぎる恩恵が受けられる.

そして最後に目次にざっと目を通して何となく全体の項目を頭に叩き込めば十分にモトは取れる位の情報量になっていると思う.

無理やり興味の無い項目を読んで難しいと投げ出してしまうより、美味しいところだけつまみ食いして、後は必要に応じて読めば良いのだ.

ここまでが、私なりの初心者救済措置だが中級者以上ならばさらに面白い話題が満載だ.

『#23 ピクセルデータからUIイメージを作成する』の部分は、本書を読む前にOpenGL TextureからUIImage変換、そしてその逆変換なんて処理を書こうとした時に苦労してた内容だし(当時この本があれば良かった...)

『#33 NEON』なんかの話題は、ちょっと興味を持っていました程度の心構えでは手を出しづらかったものを、本書のように解説を加えられると「ちょっとコード打ってみっか」って気分になる.

と、まぁ、ちょっと煽り気味に書いてみたが、要はiPhoneアプリ開発者であれば目を通しておいて損は無い内容だと

こういったJEMS的な本は定期的に出てくれるとありがたい